株式会社G-Place(京都府長岡京市)でごみ・環境政策運営、子育て支援、防災対策などに関する自治体向けの業務支援を行う「公共イノベーション事業グループ」が環境省の令和3年度環境保全研究費補助金「イノベーション創出のための環境スタートアップ研究開発支援事業」に、株式会社エックス都市研究所と共同申請した『使い捨て製品の削減に資するリターナブルのカップ又は弁当容器のシェアリング事業』が採択され、北九州市八幡東区東田地区を対象地区としたリターナブル容器の利用に関する実証実験をエックス都市研究所と共同で実施されます。

リターナブル容器シェアリング…使い捨て容器を無くすための新たな取り組み

実証実験では、カフェや外食店等で提供される使い捨てのプラスチックカップ又は弁当容器を、リターナブル製品に置き換えることを想定し、利用者を含む関係者の受け入れ可能性について検証を行われます。

実証実験は北九州テレコムセンターロータリーに出店するキッチンカーで提供されるランチを対象に行われ、実証実験に協力する利用者にモニターとして登録してもらい、リターナブル容器を利用。用意した返却ボックスに返却され、返却された容器は社会福祉施設「わくわーく」にて洗浄を行い、再びランチ提供に利用されます。利用する容器はランチ提供者、洗浄実施者の意見を元に選定されました。

実証実験に加え利用者や関係者から、リターナブル容器の受容性に関する情報収集も行われます。なお、容器の流通を管理するスマートフォンアプリの構築をめざし、実証実験期間中にアプリ要件の検討も行われます。

これら一連の調査を通して、ランチ提供者および利用者における事業受容性、回収・洗浄などリバースロジスティクス(※)の実現可能性の検証、ランチ容器、回収ボックス、アプリなど必要なツールの要件に関する知見の収集が行われます。

なお、実証実験の対象地区である北九州市八幡東区東田地区は、全国で初めて「SDGs未来都市」及び「自治体SDGsモデル事業」に選定された北九州市の中でも特にSDGs推進の中心的エリアであり、資源循環の新たな仕組みを検討する場所としてふさわしいと考え実施されるということです。

(※)一度利用された製品の回収から再配布までに生じるすべての作業

プラスチックごみ問題とは

世界の海には合計で1億5,000万トンのプラスチックが存在していると言われており、2050年には海洋プラスチックごみの量が魚の量を上回るという予測もあります。こうしたプラごみは、やがて小さな粒子「マイクロプラスチック」になり、数百年間以上自然界に残ります。マイクロプラスチックは海洋生態系に影響を与えるだけでなく、生態系に取り込まれ循環し、人間の食べ物にも含まれている可能性が指摘されています。

また一方、プラスチックは石油を原料として作られるものであり、このまま生産拡大が続くと、2050年には消費する原油の20%がプラスチック生産に使用されるとする予測もあり、深刻化する地球温暖化への影響も大きな問題となっています。

※出典:WWF(R)「海洋プラスチック問題について」
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html

次に注目の「リターナブル容器」とは

脱プラスチックを求める世界の情勢に後押しされ、今注目されているのが『リターナブル容器』です。これは、カフェやレストランでテイクアウトを利用するとき、使い捨ての容器ではなく、再利用可能な容器で食事が提供されるサービスです。利用者は食べ終わった容器を店舗や返却ボックスに返却するだけでよく、利便性の高さとごみ削減の効果が注目されています。ごみを出さないライフスタイルがトレンド化する中、ドイツでは9,600店が参加するサービスが登場するなど、ヨーロッパやアメリカをはじめ、世界中でいくつものサービスが立ち上がり、多くの人々に支持されています。

店屋物がヒントに…日本では古くて新しいリターナブル容器シェアリング

日本では「リターナブル容器のシェアリングサービス」はまだ普及していないものの、実はそれに近い文化が以前から存在しています。最近ではあまり見かけない《玄関先に店屋物(※)の容器を置いて返却する》という光景。この店屋物の仕組みは現代で言うところのリターナブル容器のシェアリングだと言えます。

店屋物を頼んだとき、食べ物は店舗で使用されているものと同じ器で届くため利用客は食後に容器を洗浄し、それを店が回収できるように玄関先に置いておく文化が昭和~平成初期のころまでは多く見られました。

令和の現在でもそのサービスは残っていますが、今はほとんどが利便性の高い使い捨て容器に置き換わっています。今改めて以前からあった文化の良さを再評価しつつ、店舗ごとではなく一括で管理することにより利便性と導入負荷の低減を追求し、新しい循環型社会の仕組み構築をめざすのが本事業の目的です。

(※)料理屋・そば屋・すし屋などの飲食店から取り寄せる食べ物

事業概要

事業名:使い捨て製品の削減に資するリターナブルのカップ又は弁当容器のシェアリング事業
事業者:株式会社G-Place/株式会社エックス都市研究所
補助事業実施期間:2021年9月中旬~2022年2月末

実証実験概要

実証実験実施期間:2022年1月12日~2022年2月4日
実施場所:北九州テレコムセンター1号館2号館前ロータリー
実施:東田廃プラ削減実行委員会
事務局:株式会社G-Place/株式会社エックス都市研究所
協力:北九州キッチンカー実行委員会/NPO法人わくわーく/八幡東田まちづくり連絡会
実施場所の提供:日鉄興和不動産株式会社
対象地区:北九州市八幡東区東田地区

これまでの株式会社G-Placeの取り組み

株式会社G-Placeの「公共イノベーション事業グループ」は、長年、全国自治体との協業を通じて環境問題の解決に取り組んできました。1968年の創業当初から自治体のごみ減量促進を支援しており、排出量削減を目的とした制度である《ごみ有料化施策》をサポートする様々なサービスを提供。

2013年には適切な分別を通してリサイクルを促進するとともに、ごみの適正排出を助けるごみ分別アプリ「ごみスケ」の提供を開始し、現在130以上の自治体に導入。

今後も同社が得意とするICT(情報通信技術)を活用することで、環境問題の解決をはじめとした様々な時代のニーズに応じながら、より便利で暮らしやすい社会環境を整備する一端を担って行きたいということです。

G-Placeが提供する自治体向けICTサービスラインナップ(一部)

・タベスケ https://tabesuke.jp
食品ロスの削減、環境運動への参加、お得な食品の購入を可能にするフードシェアリングサービス。
・ごみスケ https://gomisuke.jp
全国150以上の自治体が導入するごみ分別アプリ。ダウンロード数は150万以上。昨今需要の高い外国語・やさしい日本語にも対応。
・ごみサク https://www.gomisaku.jp
家庭ごみの減量化・適正排出を促進し、地球環境に貢献するための分別辞典サイト。地域×品目ごとに、正しい捨て方やリユース方法を簡単に検索可能。
・ロカポ https://locapo.jp
G-Placeが提供する地域の課題解決・活性化につながる自治体向け製品の検索サイト。

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